非常勤医師の雇用保険

 医師といえども、非常勤である以上は社会保険の適用外の労働である可能性もあります。非常勤で働く医療機関が大病院等であれば、週に30時間以上従業することで社会保険に加入できるのが一般的ですが、クリニック等では「医師国民健康保険組合」に加入していることも多いので、よく調べる必要があります。医師国民健康保険は都道府県の医師会が運営主体であり、保険料は一定です。独身の医師は保険料も減免されるので、お薦めできる保険です。但し傷病手当、出産手当等は付きませんし、育児中も保険料を支払わなければなりません。

 勤め先が協会けんぽに加入している場合、非常勤医師も加入すれば、厚生年金に加入することもできます。こちらは傷病手当も出産手当も付きますし、育児中は保険料の支払いが免除されます。デメリットは保険料が収入額に応じて変動することです。

 社会保険に注目して、常勤と非常勤とを比べてみましょう。どちらも年収2000万円とします。常勤医であれば、健康保険、年金保険、労災保険、失業保険が給料から差し引かれます。(但し公務員の身分を有する医師であれば失業保険は関係ありません。)社会保険料が280万円、所得税が300万円、住民税が150万円と算出されるので、手取りはおよそ1250万円と分かります。他方、非常勤医の場合、アルバイトだけで2000万円を稼ぐので、国民健康保険料が70万円、住民税が170万円、所得税が400万円と算出され、手取りは1340万円となります。この比較だけを見ると非常勤の方が手取りも高く、魅力的なのですが、社会保険には労災年金や年金保険等が含まれているため、安直に比べられない点には注意を要します。簡単に言えば、非常勤のみで生計を立てた場合、貯金で老後に備える他ないということです。